歯ならび異常の影響
歯ならび異常は様々な悪影響を及ぼします
皆様は、歯ならびが悪いと見た目が悪くなることが問題、と思っていませんか?
歯は本来噛むための臓器です。
歯ならび・咬み合わせが悪いと、以下のような色々な問題が起こります。
・ 咬み合わせが原因で、姿勢が悪くなったり、肩こりが起こる。これにより、時に、日常生活に重大な影響を及ぼす場合がある。
・ 顔つきが大きく変わってしまう。
・ いびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群になりやすい。また、過呼吸になりやすい。
・ 歯の寿命が短くなる(「歯ならび・かみ合わせの病気」のページ参照
・ おねしょがなかなか治らない
・ 心理的に大きな影響を及ぼすことがある。
・ 噛む力が弱くなる。
・ 発音に悪影響を及ぼすことがある。
・ 歯ならびが悪くなる原因を放置することにより、うつやアレルギー性疾患(アトピーやアレルギー性鼻炎など)・リウマチなど)にかかりやすくなります。
・ 胃腸に悪影響を及ぼすことがある。
・ あごの関節に負担がかかり、突然口が開かなくなったり、開いたときに強い痛みの出る『顎関節症』という病気になる。
・ 歯磨きがしにくくなるので、虫歯や歯周病になりやすくなる。
全身への悪影響
かみ合わせが悪いと、姿勢が悪くなったり、肩こり・頭痛を惹き起こす場合があります。
最悪の場合、日常生活に重大な支障を生じるほどの症状が出てしまうことも、少なからず報告されています。
かみ合わせの全身に対する影響は、決して珍しくはありません。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上の呼吸が停止、即ち無呼吸が5回以上繰り返される病気のことを言います。
昼間に眠い、いびき、起床時の頭痛などの症状が起こりますが、時に生命に影響を及ぼす場合もあります。
あごが小さく後退していることにより気道が狭くなることが、睡眠時無呼吸症候群の原因の1/4を占めるとされています。
おねしょ
就寝時に呼吸の状態が悪いと、血液のpHが酸性に傾きかけます。
しかし、血液のpHが変動すると生命に影響を及ぼすことから、pHはごく限られた範囲内から外れないよう、厳密にコントロールされています。
呼吸の状態が悪化すると、腎臓の働きによりpHを維持しようとします。その結果おねしょ(夜尿)をしてしまう、と近年言われています。
胃腸に悪影響を及ぼす
かみ合わせが悪いと、しっかり物が噛めず、充分に粉砕されないまま食べ物が胃に送られてしまいます。
その結果胃腸に負担がかかり、胃腸障害や成長への悪影響も考えられます。
歯ならび異常の原因[口呼吸]を放置したことによる影響
歯ならび・かみ合わせを悪くする最大の原因は、
・口を開いて口で呼吸すること
・舌の機能異常
です。
(詳細は『歯ならびを悪くする原因は?』のページ参照。)
特に口呼吸や舌機能の異常は、お口の中だけではなく全身に悪影響を及ぼし、うつやアレルギー関連の病気(アトピー・ぜんそく・リウマチなど)や、その他全身の病気の発症につながります。
口呼吸によって様々な病気が起こる理由とは?
口や鼻の奥には、咽頭扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃、耳管扁桃という4つの『ワルダイエル咽頭輪』という扁桃組織があります。
この咽頭輪では、口や鼻から侵入した細菌やウイルスから体を守る、重要な役割をしています。
動物は、本来鼻から呼吸します。
ところが、ヒトは口でも呼吸することが出来るようになりました。
その結果、話をしたり、楽器を吹いたり、という、他の動物では出来ない機能を身につけることが出来ました。
ところが、鼻と口の機能は他の動物と大差なく、口からの呼吸に対応出来ていません。
それが様々な病気を引き起こす原因となっています。
鼻呼吸と口呼吸の違い
口呼吸鼻呼吸により鼻に入った空気は
・細かいゴミを取り除き
・加湿、加温した後に
ワルダイエルの咽頭輪とよばれる細菌などに対する防御機構で、鼻で取り除けなかった外敵(細菌)などを処理します。
鼻には、他にも様々な機能が備わっており、それにより体を守り、脳の機能までも正常に保つのに役立っていると言われています。
ところが、口呼吸をすると、大量の外敵(細菌や微少なゴミなど)が一挙に扁桃組織に到達します。
その結果、扁桃の処理能力をオーバーしてしまい、処理しきれなかった病原体などが体に侵入したり、扁桃そのものが炎症を起こすことにより、全身に悪影響が生じます。
更に免疫系に異常を来し、アレルギー症状の発生にまで発展します。
口呼吸により扁桃が炎症を起こした場合に起こる病気
腎臓病
IgA腎症、糸球体腎炎、腎盂腎炎 ネフローゼ症候群など(IgA腎症は、透析が必要になる場合があります。)
皮膚の病気
アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、多形滲出性紅斑、アレルギー性紫斑病、慢性蕁麻疹など
骨・関節の病気
関節リウマチ、胸肋鎖骨過形成など
循環器系の病気
心内膜炎、心筋炎
その他
肝炎、胆嚢炎、虫垂炎、目の病気など
口腔・頭部への影響
顔つきが変わってしまいます
顎の発育が悪いと、顔つきも大きく変化します。
例えば、小学生になってから、上の前歯が下唇に覆いかぶさるようになり、出っ歯になったのではないか、と来院されるお子様が散見されます。
ところが多くの場合、上の歯が出っ張っているのではなく、下あごの発育が悪いため、相対的に正常な上の歯が出ているように見えるだけなのです。
この様な症状が気になるお母様がおられましたら、お子様の幼稚園時代の写真をいくつかご覧下さい。
その頃の顔つきが、現在より「かわいらしい」ことに気付かれると思います。
歯ならび 影響また、上下の顎の発育がアンバランスな場合、明石家さんまさんやアントニオ猪木さんのような、独特の風貌になります。
下あごが左右何れかに傾いて成長した場合、前から見たとき顔がゆがんで見えます。
噛む力が弱くなります
かみ合わせが悪いと、食べ物をかむ力が弱くなります。
下あごの発育が悪いと、前歯でかみ切ることが出来なくなります。
しっかり食事がかめなくなると、お子様の成長にも影響を及ぼします。
また、かむことにより脳の血流がよくなることがわかっています。
充分にかめないと、脳の発達にも影響を及ぼします。
発音に対する影響
あごの発育が悪いと、舌の運動できる範囲が狭まります。
それにより、発音がしにくくなる場合があります。
顎関節症
口が開かなくなる、『顎関節症』という病気になります。
顎関節症近年、顎関節症と呼ばれる病気が増えています。
この病気は、あごの関節に異常を来し、
・ 口が大きく開けられない
・ 口をあくと顎の関節が痛い
・ かんだ時に、顎の関節や筋肉が痛い
・ 口をあくときに、関節から変な音がする等の症状を引き起こします。
原因の殆どは、かみ合わせが悪いことにあります。
(註:海外では顎関節症の原因はかみ合わせではない、とされていますが、日本では臨床家を中心にかみ合わせが原因と考えられています。)
虫歯や歯周病になりやすくなります
虫歯になりやすい歯ならびが悪いと、歯垢(バイ菌)がたまりやすくなり、歯磨きもしにくくなります。
その結果、虫歯や歯周病になりやすくなります。
また歯周病になった歯は、かみ合わせが悪いと(正常な方に比べて)大幅に歯周病の進行が早まります。
ご老人で歯を抜いたことのない方をご覧下さい。
殆どの方が綺麗な歯ならびと、よいかみ合わせの持ち主です。
心理的影響
歯ならびが悪いことがコンプレックスとなり、人前で心の底から笑えなくなったり、最悪の場合対人関係に悪影響を及ぼす場合もあります。